「1/4の奇跡」左側の君に【完】
周りにバレないように、
こそこそと廊下を歩いて、
教室に入った。
暗幕で真っ暗な教室。
拓人と運んだダンボールたちで迷路のようになっていた。
阿部さんに引っ張られて、
私のスタンバイする位置へと連れていかれた。
「ここの壁から半分顔出していてね。
きゃーってびっくりしたら、ゆっくり追いかけてね。
ちょっとやってみよう」
言われたとおり、顔を半分だして懐中電灯で顔を照らしてみた。
「葉月さん、怖すぎだわ。完璧。
で、そのまま歩いてきて・・
和泉くん準備OK?」
「ああ」
やる気のない拓人の声が、
ダンボールで仕切られた向こうから聞こえてきた。
「客がこのへんまで来たら、和泉くんが真正面から登場して・・
ほら、和泉くん!」
すると、ダンボールの向こうから、
黒いマント、黒いスーツ姿の拓人が出てきた。
・・・かっこいいじゃん・・
「なんか。。。ただ普通にかっこいい男だね」
阿部さんが腕を組んでいった。
「なんだよそれ・・」
「怖さが足りないのよ、葉月さん見てごらんなさいよ!」
拓人が私をじろっと見た。
「・・・・・・」
拓人は固まっていた。
「・・・確かに・・こえーな・・」