「1/4の奇跡」左側の君に【完】
・・・それって喜んでいいものなのか、
悲しんだほうがいいのだろうか・・・
「わかった!
最初から和泉くんはここに立っていて、
もう葉月さんは、和泉くんのマントの中にいればいいんだ!
客が、あれ、イケメンのドラキュラだわぁと気が緩んだところで、
マントの中から葉月さんが出てきて、
客が葉月さんに驚いて、きゃーーーって・・」
・・・それって・・
「なんか、変質者っぽくね?」
・・私もそう思う。
「もう!時間ないから、ちょっと一回やってみてよ!」
阿部さんが拓人のマントを広げた。
私がひょこっと中に入ると、
拓人はマントを閉じた。
後ろから抱きしめられているみたいで、
ドキドキしてしまった。
「ちっちぇーな・・」
拓人がぽそっと言った。
体には拓人のぬくもり
拓人の匂い
やばい・・・めちゃめちゃドキドキしてきた・・・
「はい、葉月さん出てきて」
私はドキドキしながら、
懐中電灯で顔を照らして
マントからゆっくりと出た。
「あ~こっちのほうが、怖くていいや!
これでいこう!
じゃ、あと5分ぐらいで始まるからよろしくね!」
バタバタバタと、阿部さんは他のところへ行ってしまった。