「1/4の奇跡」左側の君に【完】
帰り道
人生初の告白は、
振られたような
振られていないような・・・・・
【ずっと思っているよ】
その言葉を何度も思い出しては、
その言葉の意味を考えていた。
どうして拓人は、
誰とも付き合わないんだろう・・・
文化祭が終わって、
私と拓人はまた、
隣の席同士の関係だけになった。
拓人は相変わらず教室ではかったるそうにしていて、
放課後は毎日部活に行ってしまう。
私も毎日かったるそうな拓人を心配したり、
時々他愛もない話しをしたり、
お昼はやっぱり毎日お母さんの手作り弁当を持って、
廊下で莉子と待ち合わせをし、
学食へ行く・・という
代わり映えのない毎日を送っていた。
でも、心の中は以前とはちょっと違って・・
隣の席から見る拓人の、
時々見せてくれる可愛い笑顔とか、
時々言う優しい言葉とかに、
好きだな・・って・・
隣の席からきゅんきゅんして、
彼氏彼女の関係じゃないけど、
しあわせだな・・って思っていた。
季節は冬になり、
2学期ももう少しとなった。
そうそう、もうひとつ変わったといえば・・・
「花音のお母さんって、ほんとに料理上手だね。
うらやましいな・・」
「詩織は自分でお弁当作っているんでしょ?
そのほうがすごいよ」
「あはははっ私なんかいっつもパンだし」
そう言って莉子が笑った。
そう、あれから阿部さんとは、
「詩織」「花音」と名前で呼び合うぐらい
仲良しになった。
莉子とも詩織はすぐに意気投合して、
あれからお昼休みは3人で過ごしている。