「1/4の奇跡」左側の君に【完】
周りから見れば、
ギャル二人に囲まれた優等生って感じだろうけど、
そんなのは、私たちには関係なかった。
背が高くてスタイルの良い、
しっかり者の莉子と詩織。
二人共彼氏持ちで、
片思いまっしぐらな私には、
とても幸せそうに見えてうらやましかった。
「和泉とはどう?なんか進展あった?」
莉子に聞かれて、う~んと私は首を傾げた。
「振られたわけではないんでしょ?」
詩織に聞かれて、うんと私は頷いた。
「うちのクラスのほとんどが、
二人は付き合っているって思っているよ。
休み時間いっつもしゃべっているし、
仲良さげだし・・」
詩織はお弁当の蓋を閉めた。
「そういえばさ、和泉なんで部活やめたの?
部長だったんでしょ?
あんなに上手かったのに・・」
莉子がそう言って首を傾げた。
・・・・えっ
「拓人・・部活やめたの?」
「花音・・もしかして知らなかったの?
和泉、昨日退部届け出したって。
うちのクラスの・・ほら、
和泉和泉言ってる女たちが騒いでいたよ?」
昨日・・部活をやめた・・・
「ちょっと・・ごめん。
私、先戻るね」
私は、食べかけのお弁当に蓋をして
急いで袋に入れて、
拓人を探しに学食から飛び出した。
時々お昼休みに体育館でバスケをしているから、
体育館を見に行ったけど、
ガランとした誰もいない空っぽの体育館だった。