「1/4の奇跡」左側の君に【完】
拓人は駅の向こうに見えるビルたちを見つめながら、
ゆっくりとつぶやいた。
私・・こんな時になんて質問しちゃったんだろう・・
心の中でものすごく後悔した。
「ごめん・・拓・・」
「ちょっと座ってもいいか?」
拓人はショッピングモールの中にある
小さな公園のベンチを親指で差した。
「うん・・って・・大丈夫?具合悪い?」
私が覗き込むと、
拓人の目が笑った。
「大丈夫だよ。
ただ、座りたかっただけだ」
拓人と一緒に公園の方に入って、
かわいい木製のベンチに座った。
ショッピングモールの建物は、
クリスマスの飾り付けがしてあって、
公園と建物の間にある、大きなクリスマスツリーが
キラキラといろんな色で輝いていた。
やっぱり拓人はバスケが好きだったんだ。
じゃあ・・なんで突然辞めちゃったんだろう・・・
「・・どうして部活突然やめちゃったのか、
理由聞いてもいい・・?」
私は膝の上に置いてある自分のバッグの持ち手を
ぎゅっと掴んだ。
「ちょっと・・体を壊したんだ」
拓人がゆっくりと話し始めた。
「普通に生活する分には、なんの問題もないんだ。
でも、バスケとなると・・・
周りに迷惑をかけるから。
きっぱりと辞めようって思ったんだ。
俺は後悔していないよ」