「1/4の奇跡」左側の君に【完】
「体を・・壊した・・?
どこが悪いの?」
拓人は、マフラーから顔を出して笑った。
「そんな・・たいした事じゃないから。
入院とか死ぬとかそんなんじゃないし、
普通に生活はできるから。
バスケも俺、
小一からミニバス入って、ずっとやってきたから、
もう十分やったって思ってる。
いいんだこれで。
俺は、いいんだ別に」
拓人はまた、マフラーに鼻が隠れるぐらい
顔を埋めた。
「体は本当に大丈夫なの?」
「うん」
「絶対絶対?」
「うん」
「絶対絶対絶対?」
「しつけーな。大丈夫だよ」
怒ったのかなって、不安になったら、
拓人の目が優しく笑って、
ホッとした。
「小一からやってたんだ・・バスケ」
「うん」
「だから上手だったんだね」
「そうか?」
拓人は首を傾げて笑った。
大好きだったんだよね・・バスケ。
本当はやめたくなかったよね・・
きっと続けたかったはず。
だって、バスケをしている拓人
すっごく輝いてた・・・
「なんで、お前が泣くんだよ」
我慢していたんだけど、
こらえきれなかった。