「1/4の奇跡」左側の君に【完】
部屋着に着替えて、
いつものようにカーテンを開けて空を見上げた。
学校のある市は少し都会だけど、
私の住んでいるところは、少し田舎だ。
少し、ほんの少し。
ほんの少し田舎だからといって、
晴れている時に満天の星空が眺められるかというと、
そうでもない。
ただ、都会よりは空の暗さが濃いから、
その分、見える星の数は多いと思う。
星は毎年決まった場所に現れるから見つけやすいけど、
惑星は毎年違うから、
それを見つけるもの面白い。
この時期は木星だ。
そして、今一番見るのが好きなのが、
アンドロメダ銀河。
私はお父さんが買ってくれた反射式天体望遠鏡を空にむけ、
焦点をアンドロメダ銀河に合わせてから、
横からレンズを覗き込んだ。
いくら天体望遠鏡でも、低倍率のレンズの方がいいと教えられても、
図鑑で見るような渦巻き状には見えない。
ぼんやりとした楕円形にしか見えない。
それでも、地球のいる天の川銀河から一番近い銀河。
今見えているアンドロメダ銀河の光は、230万年前の光。
星たちの中にぼんやりと見えているけど、
本当は、天の川銀河と、アンドロメダ銀河の間に星はない。
そう思うと、不思議で神秘的で・・・
やっぱり私は星を見るのが好きだと思った。