「1/4の奇跡」左側の君に【完】
バスケ男子
莉子はどんどんと、
体育館の中に入っていってしまった。
「えっ・・・ちょっ、莉子・・・」
しかたなく私もその後をついて、中に入った。
壁際に立った瞬間、
バン!!と、ひとりの男子が目の前でボールを奪い取り、
まるでボールが手に吸い付いているかのようなドリブルをして
駆け抜けていった。
そして、ぐっと腕を伸ばして、
綺麗なフォームで、シュートした。
白い長袖のワイシャツの袖をまくって、
制服のままバスケをしている男子たち。
その中でも今シュートした男子は
一番背が高く、
ボールの扱い方や動きがとてもかっこよく見えた。
「ナイッシュー! 拓人!(たくと)」
拓人・・・
拓人っていうんだ・・あの人。
あれ・・なんかどっかで見たことあるような・・・
ダンダンダンダン!と、
ドリブルしながら、ゆっくりこっちへ移動してきた。
近くで顔を見て気づいた。
うちのクラスの
和泉拓人(いずみ たくと)だ。