「1/4の奇跡」左側の君に【完】
拓人を待ってから、30分過ぎた。
まだ・・かな・・・
隣の校舎から夏目先輩が女の子と手を繋いで、
こっちへ歩いてくるのが見えた。
・・・・会ったらめんどくさそうだな。
私は避けるように、階段を昇った。
2階の踊り場で待つことにして、
壁によりかかった。
長いな・・・・
本当に教室にいるのかな・・・
私は気になりだして、
教室まで見に行くことにした。
廊下を静かに歩いていくと、
教室から、先生の声が聞こえてきた。
「その席で大丈夫なのか?」
「はい」
「一番前に来てもいいんだぞ」
「いえ・・大丈夫です」
「ちゃんと話してくれてありがとな。
つらかったな・・・
ひとりで抱え込まないで、周りに頼ってもいいんだぞ。
みんなに話すのも、勇気だ」
・・・・なんのこと・・・?
「先生、今話したこと・・
絶対に誰にも言わないでください。
俺・・同情とかされるの嫌なんで。
俺は、大丈夫ですから」
「わかった。
和泉がそうしたいなら、そうしよう。
でも、俺にはなんでも相談してくれよ。
力になるから・・な?」
「はい。ありがとうございます」