「1/4の奇跡」左側の君に【完】





月曜日




朝、教室に入ると、

詩織が座りながら斜め後ろを向いて、

拓人と喋っていた。



拓人が他の女子と話すことが珍しいから、


不思議な感じがしながら、

自分の席へと近づいた。



「おはよ、花音。


よかったね・・」




詩織がすごく嬉しそうに前の席から言ってきた。




「私・・我慢できなくて和泉に・・・


はっきりした態度をとらないと、

花音がかわいそうだって言っちゃったの。


そしたら・・


付き合うことになったって和泉が言ったから・・


ほんとよかった・・よかったね花音!」





詩織が想像以上に喜んでくれたから、

なんだか泣きそうになった。




「ありがと・・詩織」





そんな様子を、拓人は頬杖をついて眺めていた。








「和泉、呼んでる」




その時突然、


うちのクラスの男子が


和泉に声をかけた。



その男子は廊下を指差して、そこには、

見たことのない女子が二人立っていた。






拓人は立ち上がった。


私は拓人のジャケットの裾を掴んだ。




「拓人・・・行くの?」


拓人は私の頭を撫でた。



「心配すんな」





そう言って拓人は廊下の女子たちの元へ


行ってしまった。










しばらく拓人は、


その女子たちと廊下で話していて、


私は気になってしかたなかった。





一番後ろの席から廊下をずっと見ていたら、


突然拓人が走り出して見えなくなった。






・・・・どうしたんだろう・・・






「和泉はモテるね・・・大変だね花音」




「詩織・・・拓人が走って行っちゃった」




「え?」と詩織は驚いて、


廊下へ見に行ってくれた。




詩織はまだ廊下に残っていたさっきの女子たちと


話し始めた。




そして、急いで私の元へと戻ってきた。




「大変だ・・花音・・・」









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