「1/4の奇跡」左側の君に【完】
「俺、ちょっと頭冷やしてくる」
拓人は歩き出した。
「保健室に行ってるって先生には言っておくから。
花音は、和泉を追いかけな・・ね?」
詩織に背中を押されて、私は拓人を追いかけた。
「拓人・・!」
拓人は気がつかないのか、どんどん先を歩いている。
拓人はそのまま屋上へ行って、
長方形のコンクリートの上に、
ゴロンと仰向けに寝転がった。
そして自分の額に腕を乗せた。
私は、拓人の頭の隣に座った。
「拓人・・大丈夫?寒くない?」
拓人は何も言わなかった。
私はすぐ横にある拓人の頭を優しく撫でた。
そしてふわふわした髪に
優しく指を通した。
「拓人・・ごめんね。
私のせいで・・・」
拓人は顔の上にのせていた腕をずらして、
髪を触っていた私の手を掴んだ。
いつも見上げる形の拓人の顔が、
今、下から見つめられてドキッとした。
あまりにも綺麗な肌で
あまりにも綺麗な瞳で
「噂は消える。
俺が消してみせる」
寝転んでいる拓人が、
下から私を見つめてそう言った。