「1/4の奇跡」左側の君に【完】
拓人は私をのせたまま、
上半身を起こした。
そして首を傾げて、
優しい表情で、私の顔を覗き込んだ。
その顔がちょっと色っぽくも感じた。
「お前は慣れてなくていいんだよ・・バカだな・・」
拓人が私の頭をくしゃくしゃっと撫でた。
私はそのまま拓人の首に抱きついた。
「拓人・・・」
拓人は私の腰に両手を回してきた。
ぎゅうっと拓人にしがみついたら、
拓人のシャンプーの香りがした。
「あのさ・・もう降りてくんないかな・・」
肩の向こうから拓人の声がした。
「やだ」
「やだじゃねーだろ!
降りろって!」
「まだ降りない!やだ!」
さらに私は拓人に密着して抱きついた。
「・・マジでもう。。勘弁しろよ。。」
拓人の声が本当に嫌そうだったから、
ちょっとへこんで、私は拓人から降りた。
拓人は自分の髪をぐしゃぐしゃにしていた。
「怒った・・・?」
私がとなりから覗き込むと、
拓人は真っ赤な顔をして、立ち上がった。
「もう、ほんとちょっとお前・・・
行動考えろよ・・!
いろいろと・・限界ってもんがあんだよ男には!
教室戻るぞ!!・・ったく・・!!」
真っ赤になっている拓人の髪型はくしゃくしゃで、
寝癖みたいでちょっとかわいいと思ってしまった。