「1/4の奇跡」左側の君に【完】
お母さんは、お弁当を袋に入れて、
机に置いた。
お母さんには、
今日お父さんの天文台のプラネタリウムで、
拓人とデートをする約束をしていることを伝えてあった。
「なんでまた
お父さんのいるプラネタリウムに行くなんて約束したのよ。
お父さんもかわいそうだけど、
彼だって知らないんでしょ?お父さんがその場にいること。
彼だってかわいそうだわ」
・・・そうかな・・・
私は、リビングのソファーに座った。
「拓人もかわいそうだったかな・・・」
そんなことを考えていたら、
お父さんがバタバタと忙しそうにリビングに入ってきた。
「ほら、花音。プレゼントだ」
そう言ってお父さんは紙袋を渡してきた。
「ありがとう・・」
中を開けてみると、
片手サイズの天球儀。
「かわいいだろ?これ、光るんだぞ!じゃあ行ってきます!」
お父さんは大きなリュックを背負って、
玄関へと向かった。
「おとうさん!」
「なんだ?」
お父さんは急いで靴を履いていた。
「今日・・お父さんのプラネタリウムに行くね」
お父さんの表情があきらかに、
ぱっと明るくなった。
「そうか!楽しみにしているな!
何時頃くるんだ?」
私はお父さんの前に立った。
「午後1時半過ぎぐらい・・彼氏と」
「・・・か・・・かれし・・・」