『歩』〜人は愚か〜
「悪いと思ってるなら婆ちゃんに誤れ!」

お兄ちゃんは大きな声で受話器に向かって怒鳴っていた
その隣にはお姉ちゃんがピッタリと座っていた

何を揉めているのかは私には分かるはずもなく
ただ、もの凄く疲れていて
お兄ちゃんが怒鳴っていたって
その相手が母だと分かっていたって
この時の私はただ襲い来る眠気に勝つことも出来ず
そしてこの時、「母に来てくれて有難う」っていえない瞬間が来ることも知らずに私は意識を手放し眠りに付いた
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