『歩』〜人は愚か〜
小学生になる前に一度、私は大きな姉ちゃんと母と一緒に

アイドルのオーディション会場に行った事がある。

たぶん大きい姉ちゃんの夢だったのだろう


私は大きな会場で思っていた

ここに居る子達は何をそんなに浮かれているんだと・・・・


大きい姉ちゃんも夢見る余裕があっていいなー

『結構こいつ人生楽しんでんのか?』

なんて、考えていた

私は芸能界に興味などなった

浮かれた世界に生きる住民だと思っていたし、

それよりも明日の空腹の方が恐かった



動くとお腹が空くから私は床に座って黙っていた


審査がどんどん進んで行くと私は飽きていた


たぶんつまらなすぎて寝ていた気がする


一つだけ覚えているのは

知らない男の人が

「君は出ないの?」

と聞いてきた

こんな浮かれた世界に興味などなかったけど

笑顔で

「私には関係ない姉ちゃんを待ってるだけ」

と答えた。



・・・・数日後・・・・・


姉と私の名前入りの合格通知が届いた


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