白と黒の神話
 彼の勢いはウィアが押さえられるものではない。何があっても自分の知りたいことを知ろうとしているカルロス。それを知っているのがヴァンパイアと呼ばれる存在であっても関係ない。カルロスのそんな力強い意思のある表情にシュルツは感嘆の声をあげているのだった。


「僕のことをわかっていて、そこまで強引にたずねるのかい。ある意味、立派としかいえないね」

「王子、言葉には気をつけてください。相手はヴァンパイアです」


 ウィアのそんな声も彼の耳には入っていない。


「答えるつもりはないのか」

「本当に感服するよ。人間の分際で我々にかなうはずがないことはわかっているだろうに」


 先ほどまでの表情とは違う、見下ろすような顔。それにカルロスは気がついていないようだった。
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