白と黒の神話
「教えるつもりはないのか」

「そんなことは言っていない」


 どこか楽しんでいるようなシュルツの声。それがカルロスの怒りを一層あおっている。彼はウィアの制止もふりきって、シュルツに詰め寄っていた。


「お前は何なんだ。アンデッドどもの仲間なのは間違いないだろう。でも、それだけじゃないな」


 カルロスの言葉にシュルツは肩をすくめている。その仕草は彼を小馬鹿にしているようにもみえる。


「たしかに、こっちは何も知らないだろう。でも、それはそっちが何も教えないからだろう」

「君もおかしなことを言うね。何でも教えてもらえると本気で思っているのかい?」


 カルロスをからかって楽しんでいるようなシュルツ。これ以上、カルロスに相手をさせておくと何を言うかわからないとウィアは焦り始めていた。こうなったら最終手段とばかりに、彼はカルロスの耳にボソッと一言呟いている。
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