白と黒の神話
 シュルツの手の上で踊らされた方が情報が手に入ると判断したミスティリーナ。だからこそ、彼が何を考えているのか知ろうとするように問いかけている。


「聞いていないようで、聞いていたんだね。そうだよ、君たちに頑張ってもらわないといけない」


 そう言ったシュルツはセシリアの顔をじっとみている。


「あの子はどうしても聖王女が欲しいんだよ」

「あの子って?」


 シュルツのいっているのが『盟主』という存在だろうことはわかっている。それでも、セシリアは確かめずにはいられない。そんな彼女を正面からみたシュルツは淡々と語り続けている。


「君は気がついているんだろう。ハインツがいっていた盟主だよ。あの子は聖王女を手に入れようと懸命になっていた。だから、彼女が無防備になったあの瞬間を見逃さなかったんだ」

「あの瞬間?」
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