白と黒の神話
 それは、アルディスがアルフリートにそそのかされて隠れていた時だろうか。そんな不安がセシリアの内にはある。そして、それを裏付けるようなシュルツの声。


「いつもの彼女は大切に守られていた。それでも、あの子は聖王女がその加護から離れる時があるかもしれないと思っていたんだ。そして、その時はきた」


 シュルツの言葉をセシリアたちは息をするのも忘れたように聞き入っていた。その場を支配しているのはシュルツ。彼の声だけが静かに響いている。


「聖王女が無防備になったことを知ったあの子は、彼女を手に入れようとしたんだ。そして、それは半分成功した。そうだよね。聖王女はグローリアの王城にはいない」


 セシリアの顔をみて、そう言い切るシュルツ。それに彼女はうなずくことしかできない。それでも疑問は残っているのか、彼女はそれをシュルツにぶつけていた。
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