白と黒の神話
第5章
「リア、これからどうする?」


 シュルツの告げた言葉はセシリアにとって衝撃的すぎたのだろう。彼女はミスティリーナに返事をすることができない。そんな彼女の様子をみたミスティリーナはあたりの様子を確かめていた。

 先ほどまで墨を流したように真っ黒だった空は、本来の明るさを取り戻している。どうやら、日が暮れるまでにはまだ時間がある。これなら、もう少しここにいても大丈夫だろうと思った彼女はカルロスとウィアに声をかけていた。


「リアがちょっと動けそうにないの。もうちょっと、ここにいてもいい?」

「かまいませんよ。こっちも動くことのできない人がいますから」


 ウィアの言葉にミスティリーナはビックリしたような顔をしている。思わず彼の方をみると、カルロスがセシリアと同じように呆然としてしまっていた。ミスティリーナにしてみれば、セシリアがそうなるのはわかる。しかし、カルロスまでがそうなるのはどうしてだろうという思いを彼女は抱いていた。
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