白と黒の神話
 ウィアの言葉に納得したような顔のミスティリーナだが、疑問もあるのだろう。首をかしげながらウィアにそうたずねている。しかし、彼の返事もかんばしいものではない。


「そのあたりのことはわからないんです。聖教皇でしたら知っているかもですが、会える保証はどこにもありませんし」

「これだけ大ごとになってもなの。だから、神殿って大層なのよ」


 ミスティリーナは思わず愚痴をこぼしている。そんな彼女の様子にウィアは苦笑を浮かべているのだった。


「聖教皇に会う必要はないと思いますよ」

「本当?」


 ウィアの言葉にミスティリーナの表情が一気に明るくなっている。そんな彼女の豹変ぶりに笑いながらウィアはこたえていた。


「グローリア王家には代々伝えられている秘文書があります。それには聖水晶のことも記されているはずです」

「どうしてそんなに自信をもって言えるわけ? 秘文書はたしかにあるけれども、内容は私も知らないのよ」
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