白と黒の神話
 セシリアの言葉にウィアは肩をすくめている。


「リンドベルグの力を馬鹿にしてはいけませんよ。いろいろな情報が長のもとには確実に入るのですから」

「それに間違いないか。リア、どうする?」


 リンドベルグという一族のことを知っているミスティリーナのその言葉に、セシリアもようやく納得したようだった。疲れたようにため息をつきながら、彼女は口を開いている。


「一度、王都に帰りましょう。ここにいてもできることはないだろうし……」

「セシリア、俺も行くからな」


 ウィアたちの話を黙ってきいていただけのカルロスがポツリとそう言っている。それを聞いた瞬間、セシリアが思いっきり嫌そうな顔をするのを彼は無視することに決めたようだった。


「今さら国に帰るのはアホらしいからな」

「この意地っ張りが」
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