白と黒の神話
 呆れたようにウィアがそう呟いている。しかし、当のカルロスは聞こえないふりをしている。この調子では、承知しなくても勝手についてくるのだろう。来て欲しくない相手ではあるが、勝手に来られた時の方が問題は大きくなる。了承するしかないとセシリアは思っていた。


「どうなっても知りませんからね」


 半分、投げやりな調子でそう言っているセシリア。そんな彼女の顔をミスティリーナはどこか同情をこめたような目でみている。彼女のそんな視線はセシリアにもわかっているのだろう。しかし、そのことに触れることなくこれからの予定を口にしている。


「では、明日の朝一番にここを出発しましょう。ここでいくら話しても何も決まらないだろうし」


 セシリアのその声に反対する者はその場にはいるはずもない。


 そして、翌朝――。

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