白と黒の神話
 ミスティリーナの言葉にセシリアは目を大きく見開いていた。それでも、その言葉に間違いはないのだろう。彼女の口からでる言葉は肯定のものである。


「そうよ。私だって、できれば使いたくないわよ。でも、仕方ないじゃない」


 そう言った時、カルロスたちの姿を目にしたセシリアはさっと口をつぐんでいた。そのことにウィアは気がついたようだが、あえて何も言おうとはしない。休憩所で働いている人々はセシリアが一緒にいることで黙って彼らを受け入れている。今のウィアにはそのことに文句を言いたそうなカルロスをおさえておくことの方が大切なことだったのだ。

 やがて夕食もすませ、明日も早いということでそれぞれが用意された部屋に引き取った後。セシリアは眠れない様子で休憩所のテラスに足を向けていた。


「眠れないのか」
< 136 / 314 >

この作品をシェア

pagetop