白と黒の神話
「お心遣い、感謝しますわ。でも、私にこんなことを言ったことは知られないようにしてくださいませ」

「そうか?」


 今度はカルロスがキョトンとする番だった。わけがわからないという顔をしている。


「アルフリート様の耳にこのことが入れば、心から喜ばれるでしょうね。あなたと私ということで、サッサと話をまとめてしまわれますわ」


 セシリアの言葉にカルロスは苦笑を浮かべていた。アルフリートのシスコンが相当のものであることは知っていたが、ここまでだとは思っていなかったのだろう。しかし、彼ならばありえるというのも笑えない話である。


「お前の言うとおりだろうな。ついでに、それは勘弁してほしいな」


 肩をすくめながらそう言っているカルロス。そんな彼にセシリアが改めて問いかけているのだった。


「では、カルロス様はアルディス様のことが本気でお好きなのですか?」
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