白と黒の神話
 冗談であるかもしれないが、自分を口説くようなことを口にするカルロス。その彼の真意を知りたいと思うのは、セシリアにしてみれは当然のことだろう。


「本気だよ。それがいけないのか」

「いけないとは申しません。でも、アルディス様にお会いになられたのは、数えるほどしかございませんでしょう」

「一目ぼれを信じないか? 俺は初めてアルディスに会った時から忘れることができないんだ」


 セシリアをからかっていた時とは比較もできない真剣な顔。それをみた彼女は、それだけカルロスが必死なのだということを思い知らされたようだった。


「そのようなことがないとは申しません。私におっしゃった言葉よりは説得力もありますし」


 セシリアの返事にカルロスは安堵の息をついたようだった。彼はじっと彼女の顔をみている。カルロスのそんな視線にセシリアは思わずドギマギする自分を感じているようだった。
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