白と黒の神話
「あの兄貴のシスコンは相変わらずか」


 そんな声がポツリとセシリアの耳に入ってくる。それに対して彼女のできる返事は一つしかないといえるものだったろう。


「ええ、今回のそちらからのお言葉でますます」


 その声に思わずゲンナリしたような表情をカルロスは浮かべていた。


「アルディスを出せないのなら俺が婿に入るっていったんだがな」

「アルディス様を溺愛なさっているアルフリート様には逆効果でしたわ」


 そう言うなり、セシリアは大きくため息をついていた。そして、セシリアの溺愛という言葉にカルロスも同じようにため息をつくことしかできない。


「溺愛にシスコンね……あいつは妹しかみていないのか?」


 呆れたような口調のカルロス。そんな彼に同情的な目を向けているセシリア。そんな彼女にカルロスは再び真剣な表情でたずねていた。


「一つきいてもいいか?」
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