白と黒の神話
「私が何かしましたか?」

「アルディスの気持ちがわかったからな。こうなったら、絶対にあいつをみつける。あいつの口からはっきり聞ければ、あのシスコンも文句は言えないだろう」

「でしょうね。でも、そのつもりでしたら王都までは大人しくしていてくださいませ」

「ウィアと同じことを言うんだな」


 セシリアの口調にウィアのそれと同じものがあることをカルロスは感じている。そのことに苦虫をつぶしたような顔をしているが、今は大人しくしないといけないのもわかっているのだろう。


「お前の言いたいことはわかった。そのかわり、あの兄貴に言いたいことを言うのはいいだろう。それもダメだというのか?」


 カルロスの言葉にセシリアもうなずくしかない。思わず、ため息をつきながらセシリアは空を見上げていた。



◇◆◇◆◇



 その翌日、グローリアの王都に到着すると同時に、セシリアは国王への謁見を申し入れていた。
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