白と黒の神話
 セシリアの姿は正装ということもあり、髪はきちんと結い上げられ、色とりどりの宝石が身を飾っている。それらは彼女の雰囲気をいつもとは大きく変えるものだった。


「そのお言葉はここだけにしてください。アルフリート様の耳に入ったらどうなるかは、よくおわかりでしょうから」

「わかってるよ。ついでに、あの兄貴とはキッチリ話をつけるからな」


 この調子では、国王との謁見が終わり次第、アルフリートを捜しかねない。そのことに軽くため息をついてみても、セシリアにそれをどうこうできるはずがない。


「リーナ、ここの留守番お願いね」

「わかってる。リアも頑張っておいで」


 その言葉に何を頑張るのかと笑っているセシリア。そうしている間にも国王との約束の時間は迫っている。セシリアはカルロスとウィアを促すと、謁見場へと向かっていた。
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