白と黒の神話
 そして、セシリアがあらかじめ事情を話していたため、その場で彼女たちを待っていたのは国王であるウィルヘルムだけ。それに安心したセシリアは手早く今までの経緯とカルロスが同席している理由を説明している。


「セシリア、いろいろ大変だったな。では、まだアルディスの行方はしれないのか」

「はい。私の力がいたりませず、陛下には吉報をお届けできないのが申し訳ないと……」

「いや、そなたはよくやってくれている。それよりも、カルロス殿下がおみえの理由は」


 セシリアの報告からカルロスが一緒にいる理由はわかっている。それでも、確認するかのような言葉。すると、それに呼応するようにカルロスが一歩前に出ている。


「このような形で来訪させていただくのが失礼の極みであることは承知しております。しかし、そちらの姫君に贈ったものが戻ってまいりましたので、いてもたってもおられませんでした。そのため、ハートヴィル侯爵令嬢を仲立ちとさせていただき、この場を設けていただきました」
< 147 / 314 >

この作品をシェア

pagetop