白と黒の神話
第6章
 ウィルヘルムはウィアの言ったことをじっくりと考えている。そして、今の段階では宝物庫への入室許可だけでいいのだと判断したのだった。それならば、問題はまずないといえることである。


「セシリア、わかった」

「陛下、本当ですか?」

「嘘を言ってどうなるというのだ。鍵はこれ、入口は表の宝物庫の一番奥の棚。だが、何を調べたいというのだ」

「聖水晶のことを調べたいと思っております」


 ウィルヘルムの問いかけに静かな口調で応えるセシリア。彼女のその言葉に彼はちょっと首をかしげていた。


「聖水晶? だが、そのようなものは聖教皇の方が詳しいだろう」


 国王の口から聖教皇のことがでたことにセシリアはホッとしている。彼女はこの機会を逃すまいとするかのように、自分のもう一つの依頼を口にしているのだった。
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