白と黒の神話
 二人が国王の前で喧嘩をはじめるのはよくないとセシリアは思っている。彼女はウィアに合図をすると、部屋から出ようとしていた。しかし、アルフリートはそんなセシリアの腕をグイッとつかんでいた。


「どうして、こいつと一緒にいた」

「私がどなたと一緒にいても、アルフリート様に関係があるはずはございません」


 そう言い切ると、自分をつかまえていた手をふりほどいているセシリア。そんな彼女の気丈さにウィルヘルムは舌をまいていた。しかし、アルフリートがそれで大人しくなるはずがない。


「セシリア、話はまだ終わっていない!」

「私と陛下の話は終わっております。そして、陛下の前でこれ以上、見苦しいさまを晒されない方がよろしいでしょう」


 国王には聞こえないように囁いているセシリア。そして、彼女はウィアにも耳打ちしている。
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