白と黒の神話
 カルロスの質問はその場にいた誰もが知りたかったこと。どこか緊張した空気がその場に張り詰めている。


「それは仕方がないことだよ。あの二人は、そうならざるをえない」

「どうしてなんだ!」

「そうです。わかるように教えて!」


 シュルツの言葉にかぶさるように、カルロスとセシリアの声が響いている。彼らにしてみれば、何よりも知りたいことをはぐらかされたような思いがあるのだろう。


「教えるつもりがあるなら、はっきりお願いします。こちらには血の気の多い方がいらっしゃるので」


 カルロスの姿を横目でみたウィアがそう言っている。それを聞いたシュルツは軽くため息をついている。


「回りくどい話し方はしていないよ。君たちが信じるかどうかだ」
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