白と黒の神話
 ちょっとうろたえたようなミスティリーナ。そんな彼女を気にせず、淡々と語るシュルツ。そして、彼の言葉に思い当たることがあったのか、ウィアがポツリと呟いていた。そんな彼の様子に興味をひかれたようなシュルツ。


「知っていたんだね。そうだよ、その聖戦だ。その時、アンデッドを率いていたのはジェリータだった。覚えているよね、カロン」


 シュルツの口調は穏やかともいえるものである。しかし、その目にはなんとも表現しようのない光が宿ってもいる。


『忘れるはずがないじゃろう。あの時、儂は聖教皇と一緒におったのじゃからな』

「そうだったよね。あの時、大神殿は本気だということを示すために使えるものは何でも使ったからね」

『お主たちの存在は脅威じゃからの。そして、犠牲はいつも力のない民衆じゃ。聖教皇が動かないはずがないじゃろう』


 神竜の言葉にシュルツの瞳がそれだけではないだろうと言いたげに光っている。
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