白と黒の神話
「じゃあ、このままお姫様がみつかってもかまわないのね」

「どういうこと。まるで、私がアルディスを捜すつもりがないみたいな言い方しないで」


 ミスティリーナに詰め寄っているセシリア。そんな彼女の顔をじっとみているミスティリーナ。


「だって、あんたをみてたら気になるのよ。自分の気持ちを殺しているんじゃないの」


 ミスティリーナのそれに、セシリアは俯きながらこたえるしかできないようだった。


「そんなことはないわ。私は……」


 そう言いかけたセシリアの声がつまり、涙が浮かびかけている。それをみたミスティリーナはため息しかつけなかった。


「自分の気持ちに正直になりなさいよ。あんたは恋をしてるって認めたくないの?」

「そんなことわからないわ。この気持ちのことをなんて言えばいいのか、私にもわからないもの」


 セシリアの声にミスティリーナはお手上げというような表情を浮かべていた。
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