白と黒の神話
「都が大変なんだ。みんな、何かに操られたみたいに暴れまくっている。このままだと都は無茶苦茶になるぞ」

「都が? わかったわ。リーナも手伝って」

「当然。アンデッドが絡んでいるなら大変だし」

「それなら私も。除霊はできませんが、役に立てることもあるでしょう」

『そうじゃのう。儂も行くからの。何かあれば祓ってやろう』


 ウィアの声にかぶさるように聞こえる神竜の声にセシリアとミスティリーナも脱力感を覚えている。しかし、今はそのことをとやかく言えない。セシリアたちは城下に入っているのだった。

 しかし、そこはいつもの活気に満ちた町ではない。怒号と暴力がその場を支配している。荒々しい怒鳴り声、ものがぶつかり壊れる音。そして、女子供の泣き叫ぶ声。


「どうなっているの……」


 思った以上に荒廃している町の様子にセシリアは呆然としてしまっている。
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