白と黒の神話
 ミスティリーナの返事に押し黙っているセシリア。そして、彼女とカルロスは剣を鞘から抜くことなく、かかってくる相手を打ちのめしている。

 そんな中、まるで導かれでもするかのようにセシリアたちは都の中心ともいえる広場に近付いていた。そして、その場はまるで台風の目のように静まり返り、二人の人影が対峙しているだけのようだった。


「あの二人のうちのどちらかなの?」


 人影に気がついたミスティリーナがそう言っている。


『そうじゃのう。じゃが、一人は巫女のようじゃのう』


 相変わらず緊張感を削ぐような神竜の声だが、言っていることは重大ともいえること。それがわかっている一同は、その場で足を止めているのだった。


「じゃあ、あたしたちの味方なの?」


 安心したようにミスティリーナは呟いているが、セシリアは自分たちの方をみている相手の顔にすっかり驚いていた。
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