白と黒の神話
 神竜のその言葉に、ようやくグラン・マは顔を上げている。今まで生きてきたことは、彼女にとって苦痛以外の何物でもなかったのだろう。それを物語るかのように刻まれている深い皺。


「私もこのように長い時を生きなければならないとは思ってもおりませんでした」


 グラン・マの喋り方はいつもの彼女とは違う。そのことに不思議な感覚を覚えたセシリアが何かを言おうとした時、マレーネの声がそれをさえぎっていた。


「わたくし、あまり時間がないのよ。楽しませてくれるのはありがたいけど、遊んでばかりだと用事が終わらないわ」

「どうして、アンデッドの仲間がアルディス様のお世話をすることができたの」


 これだけは確かめておかなければいけないと思っているセシリアはマレーネを睨みながらそう言っている。そんな彼女に楽しげな表情を浮かべているマレーネ。


「そんなのいくらでも方法はあるわ」
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