白と黒の神話
「グラン・マ、浄化っていうのはアンデットたちの気を正常なものに戻すことよね。そうなると、ヴァンパイアの洗礼を受けたっていうあなたはどうなるの」


 グラン・マに問いかけるセシリアの声は震えている。彼女はグラン・マがどうなるのかということにうすうす気がついてしまったのだった。そのことを否定して欲しいと願うセシリア。しかし、その望みはかなえられるものではない。


「リア、あたしの存在もたしかになくなってしまう。でも、それでもいいんだ。あたしは長いこと生きてきた。そろそろ楽にさせてくれないかい」

「グラン・マ、それがあなたの望みであったとしても、私は納得いかないわ」


 思いつめたようなセシリアの声。そんな彼女を諭すようなグラン・マの声が響いている。


「あたしは十分に生きてきた。たくさんのものも見たし、いろいろと楽しみもした。でも、この身体は自分から死ぬことはできないんだよ」
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