白と黒の神話
 聖教皇の問いかけに司祭は考え込んでいる。そんな彼の口から出た言葉は、聖教皇の言葉を肯定するものともいえるもの。


「いえ、それでしたら納得もできましょう。しかし、そうなりますとアンデッドたちはその聖水晶を手に入れようと必死になりますでしょう」

「そうはいっても、大神殿の結界がある。心配することはない。それよりも後で見てみるといい。見事としかいいようのないものだぞ」


 そう言うなり笑い出している聖教皇。その姿をみて、どこか恐ろしいものを感じている司祭。なぜならば、今の聖教皇の姿は彼が知っているそれとはまるで違うのである。『何かにとりつかれている』それが一番ピッタリの表現だろう。温和で平和を願う聖教皇の顔とはまるで違う姿がそこにはある。


「聖教皇様、どうかなされましたか」


 自分たちが敬愛する聖教皇。その彼の様子が変わっていることに驚きながらも、たずねることしかできない。
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