白と黒の神話
 うんざりしたような表情のミスティリーナ。そんな彼女をなだめるような様子のウィア。


「ここは神殿の総本山である大神殿ですからね。しかし、よく大人しくされていましたね」


 彼のその声はミスティリーナをなだめているのか、カルロスの辛抱を感心しているのかわからない。そんな彼をみながら、カルロスは平然とした顔でこたえている。


「ここで神殿と喧嘩しても仕方がないだろう」

「よくわかっていらっしゃるようで」


 カルロスに対して、いつものように辛辣な言葉のウィア。しかし、それが一同の気持ちを和らげているのは間違いなかった。


「ここまで勝手に動いたというのが親父にバレたら煩いからな」

「でしょうね。もし、ヴェネーレの王子としてここに来ておられたら、勘当は間違いなしでしょうからね」

「お前、ここでまでそれを言うのか?」
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