白と黒の神話
「やっぱり、リアってお嬢様なのね。平気でこんなことができるんだもの」

「ですね。さすがは侯爵令嬢というところでしょうか」

「それだけ必死なんでしょう? それよりも、そっちの王子様は大人しくしてられるの?」

「してもらわないと困ります」


 キッパリと言い切るウィアの様子にミスティリーナはうなずいている。もっとも、セシリアもカルロスもそんな会話が交わされていることを気にもしていない。二人とも聖教皇だけをじっとみている。


「猊下、国王陛下よりの書状はご覧くださいましたでしょうか」


 丁重だが、簡単な挨拶をすませたセシリアは単刀直入にそう言っている。彼女の後ろにいるカルロスはどんな返事が返ってくるかと固唾をのんでいる。そんな二人に聖教皇は穏やかな表情を崩すことなく、ゆっくりとこたえている。


「拝見いたしました。しかし、おかしなことをおたずねでしたね」

「おかしなこと?」
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