白と黒の神話
 聖教皇の言葉に反応しているセシリア。彼はそんな彼女の様子を面白がるようにしている。


「そうですよ。聖水晶についてお知りになりたいようですが、『お答えできません』としか申し上げられません」

「どうしてですか」


 思わず、語気を荒げているセシリア。そして、彼女の後ろから何か言いたそうにしているカルロスを必死で押さえ付けているウィア。


「どうして、お答えいただけませんか」

「聖水晶は大神殿にとって、神聖不可侵な部分に関わっています。国王陛下の書状だけで簡単に教えられることではありません」


 そう言って、穏やかな笑みを浮かべている聖教皇。その顔には、会見はこれで終了だと言わんばかりの色が漂っている。


「これ以上、お話することもないでしょう。時間は無駄にするものではありません」

「聖教皇様!」
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