白と黒の神話
「納得いかないわ。あんな言い方されたくもない」

「リ、リア。落ち着いてよね」


 普段であればセシリアがこう言っているのに、という思いがミスティリーナはある。しかし、セシリアの気持ちがわからないでもないため、彼女の言葉には力がない。


「セシリア、あれは何か隠しているな」


 それまで黙っていたカルロスがポツリと言っている。彼も悔しい思いをしているはずなのに、その感情を露にすることがない。そんな彼をセシリアはじっとみていることしかできないようだった。そんな時、ウィアの服の間から思い出したように神竜が顔を出していた。


『ちょっと待っておれ。聖王女の気配がないか、探ってやろう』


 今まで顔を出すことのなかった神竜の姿をみたミスティリーナは、嫌味の一つや二つ言ってもバチは当たらないだろうと思っていた。
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