白と黒の神話
 セシリアの言葉にたじろぎながらも聖教皇はそう言っている。その姿に舌打ちをしてはいても、彼女は敬うという姿を捨ててはいない。それは創世神は神聖なものだという思いが彼女の中にあるからでもある。それに気がついている聖教皇は自己弁護ともとれる言葉を連ねている。


「ここにいたからこそ、姫君は無事だったのだぞ」

「それでしたら、どうしてご連絡をくださいませんでしたか」


 セシリアの言葉には聖教皇以外のすべては納得している。しかし、唯一できない相手は自己弁護を続けているのだった。


「ここの結界があればこそ無事であったのだぞ。姫君を手にしようという不届き者がおらぬとは言えぬだろう」

「何も教えられぬとおっしゃったことで、聖教皇様のその不届き者にいれさせていただきますわ」
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