白と黒の神話
 その言葉に頬を染めながら下を向いてしまうアルディス。そんな彼女を優しいまなざしでみているカルロス。その時、彼はポケットの中で動くものがあることに気がついていた。それが何か思い出した彼はそれを彼女にみせている。


「カルロス様、これは?」

「お前のものだ。そして、これのおかげでお前に何かあったとわかった」


 カルロスの言葉に首をかしげているアルディス。どうして、これで何かがあったとわかるのだろうか。


「こういうものが片方で流れるはずはないからな。だからこそ、セシリアに連絡をとった。その後でもう一つもみつけたからな。お前の身に異変があったのは間違いないと思ったよ」

「そうだったんですね」


 そう呟いた彼女はニッコリと笑うとカルロスの顔をジッとみている。


「それ、つけていただけませんか?」
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