白と黒の神話
「わたくしはお兄様の言葉を信じてしまいましたわ。そのせいで、セシリアだけでなくあなたにまで迷惑をかけてしまいました。そんなわたくしでも、本当によろしいのですか?」

「お前を責めるつもりはない。たしかにビックリしたし、あたふたもさせられた」


 彼の言葉を聞いていたアルディスの顔がフッと曇っている。だが、そんな彼女を安心させるような言葉が彼の口から出てきていた。


「だが、そのことに感謝もしている」

「えっ?」


 彼の言葉が信じられないという表情。そんなアルディスを愛しげにみつめながら、カルロスは言葉を続けている。


「あのシスコンが目を光らせているからな」


 そう言った彼はそれまでとは違う改まった口調でアルディスに向き直っている。


「初めて会った時からお前が忘れられなかった。一目惚れだと笑ってくれてもいい。だが、俺はお前が喜ぶことなら何でもしてやる。だから……」
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