白と黒の神話
「リーナ、何かわかるかしら」


 ミスティリーナならば何かわかるかもしれないと期待しているセシリアの声。それをきいた彼女は、相手の顔をマジマジとみていた。


「ねえ、リア。この部屋に隠し通路とかってないの」


 ミスティリーナのその言葉に、セシリアはハッとなっている。どうして、こんな簡単なことを思いつかなかったのだろうというような表情が顔には浮かぶ。


「あるわ。私ったらどうしていたんだろう。そこは一番に調べるべきよね」


 そう言いながらセシリアはためらうことなく書棚の一つに近寄って
いた。それを力任せに引いた彼女の前に、人が通れそうな穴がポッカリと口をあけていた。


「やっぱりお城ね。こういうものがあるんだ」


 穴の中を覗き込むようにして、ミスティリーナがそう呟いている。そこはきちんと手入れがされているのだろう。薄暗くはあるが階段があるのがわかる。そしてセシリアは燭台を持つと、ミスティリーナを促すようにして、中へと入っていた。
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