白と黒の神話
『このままという方がおかしいじゃろうな。たしかにあやつのやったことは問題じゃった。じゃが、それは聖王女を守っていたとも言えることじゃったからの』

「あのエロ親父がね……」


 思わずそう呟いたミスティリーナ。しかし、この場にはアルディスもいるということに気がついたのだろう。慌てて口をおさえている。もっとも、アルディスはミスティリーナの言葉の意味がわからないとみえて、キョトンとした顔をしていた。それでも、交わされている話の内容はわかっている。彼女自身も気にしたように呟いているのだった。


「何事もなく、グローリアに戻ることはできませんの?」


 不安そうなアルディスの声。そんな彼女の手をしっかりと握っているカルロス。


「心配するな。必ず、お前をグローリアまで連れて帰る」


 力強いその言葉にアルディスは安心した表情を浮かべている。そんな時、彼女はセシリアの様子がおかしいことに気がついていた。
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