白と黒の神話
 それまで黙って様子を見ていたカルロスがそうたずねていた。


「そうだね。彼女は聖王女に間違いない。少しは、ジェリータの影響があるかもしれないけどね。でも、君はそんな彼女は受け入れられないかい?」


 シュルツの言葉にカルロスは肩をすくめていた。彼にとっては、そんなことは関係ないのだろう。カルロスにとって大切なのは、自分が納得できるかどうか。そして、彼のだした結論は、ジェリータを身のうちに持っていようともアルディスはアルディスということだったのだ。


「アルディスはアルディスだろう。俺にとって、あいつはアルディスでしかないな」


 そんなカルロスの言葉にホッとしたようなシュルツ。そして、光の膜から姿をあらわしたアルディスは、邪霊王をキッと睨みつけていた。


「わたくしは、あなたの道具にはならないわ。そんなことをジェリータも望んでいなかったわ」


 キッパリと言い切るアルディス。その言葉に、邪霊王はどうしようかと考えているようだった。


「こっちの思惑をこえたか……まさか、こうなるなんてね。今の君は人形じゃないな」

「わたくしは、人形になんかならないわ! そんなことになるなんて、考えたくもない!」
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